卒業生インタビュー Vol.3
池内 桃子さん Momoko Ikeuchi 59期卒業生
勤務先:理化学研究所
Profile
桐朋学園小学校から桐朋女子中学に入学(59期青) 。中学高校時代は音楽部音楽班と自然科学部生物班に所属していた。平成15年に高校卒業後、同年東京大学に入学。平成19年に同大学院へ進学し平成24年に博士号(理学)を取得した。現在は理化学研究所の基礎科学特別研究員として、植物の柔軟な生存戦略の発生基盤を明らかにするべく日々研究に励んでいる。これまでに10本以上の学術論文を発表しており、平成27年には研究成果がNature Plants 誌の表紙を飾り植物学会若手奨励賞を受賞するなど、将来を嘱望される若手研究者として活躍している。大学や研究所の一般公開、科学館での講演や出張授業などを通して科学のおもしろさを広く伝えるアウトリーチ活動も積極的に行っている。
情熱的な教員と恵まれた施設
「まだ誰も知らないことを、自分の手で明らかにしたい」という思いから、研究者になりたいという夢を持っていました。「できる」「わかる」ことを純粋に楽しんでいたので、中高時代も勉強することは好きでした。特に中学から習い始めた英語は、ゼロからどんどんできるようになることが嬉しかったです。いまの仕事では論文を書くのも読むのもすべて英語ですから、桐朋女子で得意になった英語は自分の大きな武器になっています。桐朋女子では、先生方が心から自分の教えている分野が好きなのだな、と授業を通して感じられることが多かったですね。 世界史の先生がローマ教皇の「憤死」を実演してくれたり、生物の先生が水族館で日がな一日テヅルモヅルを見ていたエピソードを話してくれたりと、教科書に載っていないような内容も情熱的にお話しする先生方の姿は今でも印象深く覚えています。また、私は塾に通っていなかったので、自分で勉強していてわからない問題があるといつも職員室に行っていました。先生方はとてもお忙しかっただろうと思うのですが、どんなときでも丁寧に教えて下さって、そのおかげで学力を伸ばせたと思います。
生物班での部活動も、後の自分に影響があったと思います。いま私はカルスという細胞の研究をしているのですが、この研究をすることになったと母に伝えたら、桐朋女子の生物班で行っていたことと同じじゃない、と言われました。部では先輩から引き継がれているテーマがあり、それが現在行っている研究と関係があるものだったのです。無菌操作ができるクリーンベンチなど普通の高校にはないような設備も桐朋には整っていましたし、組織培養の技術やシダ植物の野外採集・分類などを顧問の先生や先輩方が熱心に指導して下さいました。大学に入って初年度は授業ばかりでしたから、桐朋女子の方が実験できたなぁと思ったほどです。自分が興味を持ったことを追求していくうえで、素晴らしい環境が整っていたことはありがたかったですね。
誰もがリーダーになる素養を育まれていた
研究に携わっているという側面以外にも、高校時代の経験は今の仕事と繋がっていると思うことが多いです。ずっと親しくしている同級生の友人たちを見ていても、ベースは中高時代に作られた人が多いと感じます。私が桐朋女子の一番好きなところは、みながそれぞれの個性を伸ばせるところです。行事や部活動など様々な能力を活かして活躍する場がたくさんあって、しかもどれが良い、と言われることもない。友人たちの多彩な個性に刺激を受けたからこそ、自分自身の個性や能力をさらに磨かなきゃと思えました。また、中高という人格形成が行われる時期に、女子が積極的にリーダーになる環境で育ったことも今に繋がっていると感じます。周りの桐朋卒業生達を見ていても、卒業後リーダーになる人は多いですね。私は体育祭の玉入れや広報誌を作る委員ではリーダーをしたことはありましたが、そこまで積極的にリーダーを担うタイプではありませんでした。目立つ方でも無かったですし。ただリーダーを行っている人の姿を間近で見て成長したことと、それぞれの個性をのびのびと伸ばす場で生活してきたために、その後の人生で自分のやりたいことを追求したり、率先してリーダーシップをとったりすることができていると思います。
今、桐朋女子で過ごしている人たちへ
中高は人生の土台を作る大事な時期ですので、興味を持ったことを調べたり自ら行動して深めていったりすることが将来につながってくると思います。また、桐朋女子で出会った個性豊かな友人達は生涯の宝物になりますから、ぜひ仲良く切磋琢磨して下さい。