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卒業生 Vol.7

インタビュー07

ここは自分が、自分で、自分を、自分にする場所です

松澤 久実さん MATSUZAWA Kumi 53期卒業生

勤務先:株式会社 Mimmy

Profile

1991年4月 桐朋女子中学校入学
1997年3月 桐朋女子高等学校卒業
2001年3月 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部卒業
2001年~2003年 ベネッセコーポレーション勤務
2003年~2009年 清泉インターナショナルスクールモンテッソーリ幼稚園勤務
2012年5月 チェコの建築家とペーパークラフトブランドPORIGAMIを立ち上げる
2018年5月 ペーパークラフトブランドkirifuda Japanを立ち上げて現在まで運営
2021年5月 株式会社 Mimmy に入社

桐朋時代を経て

インタビュー07-2

 「ここは自分が、自分で、自分を、自分にする場所です」
中学に入って初日のホームルームで、恩師が話された言葉です。桐朋での日々は、この一言に尽きると思います。小学校時代をのんびり過ごして来た私にとっては、ハッとした衝撃の一言でした。今でも聞いた時の驚きを鮮明に覚えています。
 桐朋女子での六年間では、生徒会活動を中心に中一から年間行事の裏方役をしたり、執行部として校内放送で発信したりしてきました。「自分なりに考えて仲間と動く」機会をいただいて経験したことは、社会に出てからも活かされてきました。現在オンラインサービスの会社に勤務していますが、国籍も様々なスタッフでイベントを作って展開させてゆくのは、まるで文化祭のようだと感じることがあります。
 高校時代の恩師とは、大人になった今でも連絡を取り合う仲です。また、桐朋での英語の授業や帰国子女の友人たちの存在も大きく、「英語を使った仕事や、表現をしたい」と想うようになり、実際にインターナショナルスクールの幼稚園で先生をしたり、自分で英会話教室を開いたり、英語のバイリンガル絵本を出したり・・・と、英語で様々な人たちとやりとりをしたり、表現し続けてきたりしました。

作品作りの軸

 小学生の頃に初めて短いお話を書いて、先生に読んでもらって感想をいただいたときに、物語を作る楽しさを覚えました。また、毎日のように書いて担任の先生へ提出していた日記は、今でもときどき読み返すことがある宝物です。「自分が見て感じている世界を文字で伝える」という喜びを、日々のささやかなやりとりの積み重ねで気づかせてくださいました。これまでに、様々な作品を制作してきましたが、その根底には幼少期の経験があるのかもしれません。

インタビュー07-3

 「人は誰でも物語を生きている」ということ。大それた設定のファンタジーではなくても、日々の小さな営みの中にこそ、愛おしい物語がつまっていると感じています。絵本の形にまとめた2作品も、雑誌に掲載された短い童話も、我が子や教え子たちにお話のタネをもらって温めたものが多いです。日々の些細なやりとりの中でも、四季のうつろいの中にも「あ、物語が潜んでいる」と気づくような、アンテナを立てる・・・と言ったらいいのかな。そうした日々の中での発見を大切に、創作の軸にしています。
 独自のペーパークラフトブランドも運営しているのですが、アート名刺を制作するために経営者の方々に一対一でコンサルさせていただく機会が多いのです。じっと傾聴する中で「この人の物語に表紙をつけるとしたらどんなだろう?」と、いつも想像しながら聞くようにしています。それがアート名刺という作品をデザインするだけでなく、作家として物語を綴る上でとても大切な姿勢に感じています。

これからも続く

 今は小学生以下の幼い三人の子どもたちを真ん中に、オンライン中心の会社勤務、そして独自ブランドの運営や作家活動・・・と、なんともハイブリッドな働き方をしています。今後、少しずつ子どもたちが手を離れてゆくと同時に、作家としての時間を増やしてゆきたいなとは想っています。長編の物語を書いてみたいですね。
 アート名刺のコンサル業もじっくりと展開させてゆきたいですね。経営者という同じ立場の方々でも、本当に色々な顔があって面白い。人の話を聞くのが好きなことは、今の時代に求められる傾聴力の高さにも繋がります。桐朋女子での六年間は、本当に沢山の方々がお話しをしに来校してくださいました。一人の人間には多角的な魅力があることを、先生方が身をもって教えてくださった六年間だったように想います。私自身も、これから仕事と趣味がクロスオーバーする中で、自分だけの物語を紡ぎ続けられる、面白い大人でありたいと想います。

在校生のみなさんへ

インタビュー07-4

 色々な寄り道をして経験を積んできましたが、全てが「今」に活かされています。皆さんも、大学や職業を響きや知名度で選ぶのではなく 「自分でどんな物語を紡ぎたいか」 を大切に、色んな経験をしてみてください。評価軸を自分の外側に持たず、内側に持ち続けて。社会に出て久々に会う、そうして様々なジャンルで活躍する桐朋生たちは、いつも独特に輝いていて、話し始めた瞬間に世代を越えて盛り上がりますよ。

2022年4月現在

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