はろけき方
2022年2月から、校長コラムを始めることにしました。おおよそ月1~2回のペースで、その時々の話題や学校の様子、桐朋女子の来し方行く末をお伝えしていく予定です。ホームページをご覧になった際は、是非こちらにもお立ち寄りください。
このコラム欄のタイトルは、「はろけき方を思うかな」としました。「はろけき方(かた)」と読んでください。本校の卒業生ならば聞いたことのあるフレーズですが、一般の方にはピンとこないかもしれません。桐朋女子では、卒業式などの式典で学園歌「光の歌」を歌います。その2番の最後の部分が、「若き生命(いのち)のあくがれは はろけき方を思うかな」です。「はろけき」は古語(日本で昔使われていた言葉)です。「はるけし」という形容詞が変化したもので、「はろけき方」ははるか遠い所、それは時間的にも距離的にも、そして心理的にも遠い先ととらえてください。その前の「あくがれ」は「あくがる」という古語の動詞が変化したもので、「あくがる」は今の「あこがれる」につながります。若き生命(いのち)とは、桐朋女子の生徒のことでしょう。桐朋生が抱く希望は、近いところだけでなく、遠いところを見たものであって欲しい。大きな夢を抱いて欲しい。今の自分の立ち位置から見ればずーっと彼方にあると感じられるものであったとしても、夢を持とう。それは、「光の歌」の2番全体に込められている思いです。
「光の歌」が初めて披露されたのは、1949年です。学校の創立は1941年ですが、戦後桐朋女子中・高等学校と生まれ変わったのが1948年で、生徒から「みんなで歌う歌が欲しい」という声があがり、国語の先生が作詞し音楽の先生がそれに曲をつけました。校歌とは呼ばず、学園歌と呼んでいます。作詞した国語の先生が書き残したものを読むと、戦前の旧制高校の寮歌のように、みんなが集まったら自然に口ずさむ歌になって欲しいと考えたとあります。確かに「光の歌」には、学校名も目標もうたわれていません。校歌という意識で作られたものではなかったというのも、うなずけます。
(「光の歌」の歌詞や曲は、こちらからご確認ください。https://chuko.toho.ac.jp/guidance/uniform/)
そんな由来をもつ「光の歌」ですが、「はろけき方を思うかな」は、私たちを導く指針であると思います。学校は、未来を生きる中高生を育てる場です。これからも、生徒も教員も皆それぞれのはろけき方を思い描きながら、学校は桐朋生を育てていく所存です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。このコラム欄は、小学生も読むことを想定し、書いていく予定です。今後とも、よろしくお願いします。