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校長コラム

「桐朋教育」新刊が発刊されました

 先月中旬、機関誌「桐朋教育」54号を発刊しました。編集は、本女子部門内の桐朋教育研究所が担っています。1年に1号発刊している「桐朋教育」は、毎号テーマを設けて本校の教育実践を特集しています。今号のテーマは「評価」としました。54号の巻頭言をそのまま引用します。

 

 今号の特集は「評価」である。評価は、教育現場において、難しい課題である。客観性は保たなければならない一方、一人ひとりの伸びも視野に入れたい。つまり、結果だけでなく、その過程も視野に入れたい。学校を卒業し仕事に就いても、「営業成績」という評価を突き付けられる部署もあり、それは学校以上にシビアな場合もあろう。ただし営業成績と学校の評価は、同様に語ることはできない、異質なものである。学校は結果がすべてではないからだ。

 学校で出す評価については、長年にわたり研究されている。教育は、その内容も方法も常に追求され続けるものであり、その一部である評価の在り方も同様だからだ。ここ数年で、小学校から高等学校までの学習指導要領が改訂され、特に高等学校においては観点別評価が全面的に導入されることとなった。生徒に身につけさせたい力をはっきりさせ、評価ポイントを明確にすることで、それに向けて適切に指導する「指導と評価の一体化」が叫ばれている。桐朋学園の各学校では、従前より様々工夫して評価を出している。それは、必ずしも文科省の示すものと一致しているわけではない。私たちの評価に対する考え方の根本は、以前のものと大きくは変わっていない。文科省の示す指針を読み解いても、本学園の各学校が現在行っている方法でそれらを充足していると考えるからだ。充足しているのは、私たちが根本としている考え方が、人間を育てる根本に根差しているものだからだろう。時代の流れが多少変わっても、その根本は大きくは変わらない。一方、謙虚に見直す姿勢を忘れてはならない。このままの評価でよいのか。今後の教育のあり方を見通したとき、より効果的な評価は何か。我々は、この命題を常に意識している。例えば、評価は各学期末に教員がつけるもの、という認識は、いささか古いものになっている。特に最近の教育の流れである「生徒同士が互いに学び合う」ことに関連した評価は、模索をしながらも一つの潮流になりつつある。詳しくは本文をご覧いただきたい。小学校や、中学高校の社会科、保健体育科、外国語科の実践は、新機軸につながる予感を感じさせる。その根本は、評価は誰のためのものか、何のためにあるものか、にあろう。

 評価は、児童や生徒、学生に向けたものであり、かつそれをつけた教員に向けたものだ。評価は判決ではなく、生徒が次に向けて進むための、背中を押すものでありたい。そんな評価を出すために、私たちは日々生徒を観察している。そして自らの在り方を自省している。

 

 桐朋が大切にしてきた評価は、生徒を未来に導く指針を内包しているものです。そしてそれを後押しするのが、成績伝達の際の担任との面談です。先日、学校説明会で話した生徒から、面談とは「変われるチャンス」という声が聞こえました。「各教科の先生から頑張ったことがコメントで届くと嬉しい。自分の普段の取り組みを先生がどう見てくれているか、どこを伸ばしたらいいか、先生からのコメントに興味を持って聞いている。まずいと思うこともあるけれど、面談でいい緊張感の中で先生と話せる」。評価とコメントで、生徒が自らを育てていきます。

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