風水害時の緊急時避難場所
8月も残すところあと2週間を切りました。夏休みの終わりがちらつき始め、宿題や課題の進み具合が気になるところです。今年の夏も暑い日が続き、東京の猛暑日の日数は16日を数え(8月16日現在)、今までの記録を更新したと報道されています。去年は猛暑日が2日しかなかったと聞いても、にわかには信じられません。
一方、東北や北陸では大雨による被害が報道されています。8月一カ月分の雨が一日で降ったとニュースで報道され、道路を茶色く濁った濁流が勢いよく流れる様子を見ると、言葉を失います。先週、突然誕生した台風8号が東京を直撃しましたが、調布や多摩川には大きな被害はなかったようです。同じ東京でも、大島では線状降水帯が発生し大雨が降ったと報道されていますので、都内で被害が全くなかったわけではありません。
台風8号が誕生し東京への接近が予想されたとき、私は「ひょっとしたら…」と思うことがありました。昨年末に、桐朋学園女子部門は、調布市の風水害時の緊急時避難場所に指定を受けたからです。そして7月下旬に地元の方や市役所の方と共に、避難所開設訓練を行ったばかりでした。今回の台風により多摩川の増水が予想されたら、避難所開設の依頼が来るかもしれないと思いました。昨年末、この協定を市役所で結んだ際、市長が「調布市は三階建ての構造になっている」とおっしゃっていました。一番低いのが多摩川が流れる辺りで、桐朋学園がある辺りは三階建ての三階に位置していることになります。確かに、学校から西に向かうと急な坂があります。それは甲州街道を車で走っても感じることです。女子中高で歌い継がれている学園歌「光の歌」にも「多摩のほとりの片岡に」と歌われています。片岡とは、「一方が切り立っている岡」(広辞苑より)のことで、まさに1段上の状態を現しています。水害時に低いところから高いところに避難するのは、自然なことです。
7月下旬に行った訓練では、要介護者やペットを連れた人はこちらへ誘導する、発熱者はこちらへ、そしてそれぞれの避難場所で一人ひとりのスペースをシートで確認するなど、実際に即した訓練を行いました。空調の風でシートがめくれやすいなど、やってみないとわからないことも体感できました。訓練をした日は一部の体育館で空調の工事を始める日でしたが、その後無事に工事も終わり、受け入れる体制はできました(台風8号の際はまだ工事中で、その点でも避難所開設を要請されたらどうしようと心配しました)。
昨年来、桐朋女子中・高等学校は地域との連携を少しずつ深めています。昨秋にはビブリオバトルを、地域の方も交えて行いました。近所の公民館とコラボしての企画です。同じく公民館とのコラボで、地域の文化祭に女子中高の文化部の作品をいくつか出展しました。今年の1月から2月には、これも公民館の企画ですが、女子中高のダンス部の生徒が地域の子供たちにダンスを教える講座を開きました(コロナの影響で途中で打ち切りになってしまいましたが)。そして7月には高1の探究の時間に地域の方を招いたり、南極と中継を結んで行った南極教室に地域の方を招き、一緒に参加しました。
避難所を開設するようなことは、ないに越したことはありませんが、万が一の場合、自助共助公助が大切です。桐朋学園女子部門も、日頃から地域と連携し、共助の責任を果たして参ります。