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校長コラム

As brother and as family

 4月6日と7日、中学と高校の入学式、そして始業式を行いました。新入生を前にして、そして進級した生徒を前にして話をするにあたり、私はWBC(World Baseball Classic)を話題に取り上げました。

 先月行われたWBCでの日本代表、侍ジャパンの活躍に心躍らされた人は多かったと思います。私もその一人です。侍ジャパンのメンバーは、大谷翔平選手のような大リーグで活躍する選手と日本のプロ野球で活躍する選手で構成されていました。各球団の顔ともいうべき、代表選手です。日頃はそれぞれ別の球団に属する選手で、ライバルとして争っています。今回侍ジャパンの一員になり、ライバルと一緒に野球をすることになりましたが、報道を見る限り、自分の手の内を隠すことはなく、自分の持てるものはすべて出し、またお互い教え合って高め合ったようです。2月からの合宿で、仲間になったのだろうなと察しました。侍ジャパンの選手は、各球団では中心選手ですが、ジャパンでは必ずしも中心メンバーとは限らない、ですがそこは文句を言わず、自分の役割を果たしたとありました。この仲間で野球をするのが心から楽しいだろうなと感じましたし、ライバルに手の内を明かしていいのと思っていた自分が、とても小さく感じました。そして生徒を前にして、皆さんも仲間を作りましょうと呼びかけました。仲間は時にはライバルにもなりますが、辛いときには支え合うパートナーになります。悩みを打ち明けられる仲間がいれば、心丈夫です。そんな仲間を、この桐朋女子で作って欲しい。そのように話しました。

 中学の入学式では、来賓としてお招きしたPTA会長からもご挨拶をいただきました。会長も同じくWBCを取り上げられ、ラーズ・ヌートバー選手の言葉を紹介なさいました。それが冒頭の「As brother and as family」です。ヌートバー選手、WBC前は日本ではほとんど知られていませんでしたが、侍ジャパンにすっかり溶け込んでいました。まさに仲間の一員になっていました。そのヌートバー選手、韓国との試合を前にして円陣を組んだ際、指名されて英語で声出しをしました。兄弟として家族として。この言葉を紹介したPTA会長は、これはアメリカでチームスポーツを行う際よく言われる言葉だとおっしゃっていました。兄弟として家族として、一丸となって臨もう。私はヌートバー選手の言葉に気づきませんでした。円陣のシーンはテレビで見たように記憶していますが、この言葉はスルーしていました。これがアメリカのチームプレーでよく言われる言葉だということを知らなければ、気づきにくいと思います。このように、知識があるかないかで、見えるものや聞こえるものが違います。同じものを見聞きしていても、受け取り方には差があります。「As brother and as family」。今回の話で一つ覚えました。そして仲間の大切さは、世界共通だなと感じました。

 新年度が始まって2週間ほど経ちました。新しい友達もでき始めていると思います。いろいろな経験を経る中で、仲間はできるもの。自分が頑張る、他人に思いやりを持つ。そんな姿勢が皆に伝わり、生徒一人ひとりがよい仲間に恵まれることを願います。

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