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校長コラム

ヒマラヤスギと自称数学部

 桐朋女子には30の部活動があるが、数学部はない。聖書研究会のようにかつてあったものの今はなくなった部活もあるが、数学部についてはかつて存在した記録もないので、桐朋女子では置かれたことはないだろう。だが、10年ほど前に「自称数学部」という団体が存在した。久しぶりにその団体のことを思い出した。

高くそびえるヒマラヤスギ

 きっかけは、学園内にあるヒマラヤスギについて調べたことである。仙川の校地の正門を入ってすぐ、2本のヒマラヤスギが生えている。これはいつから生えているのか。私が疑問に思っていたことではなく、都立高のある先生から尋ねられた。先日、その先生にお会いしたのでなぜそのような疑問を持ったのか訊いてみたところ、「自生したわけではないだろうからどこかで移植したはず。大きい木なのでいつ頃だろうと思った」ということだった。学校の歴史を調べることが好きな私はいろいろな資料をあたったが、〇年に植えたと明記した資料を見つけることはできなかった。が、おそらく1951年の8月から9月にかけてではないかと、根拠を持って推測した。その詳細は、生徒に向けて11月の校長講話で紹介した。

    桐朋祭の集録抄より

 その歴史を調べていく中で、ヒマラヤスギの高さも気になった。そこで思い出したのが、自称数学部である。数学部を自称している任意団体という扱いだが、10名近い部員がいたように記憶している。中心となった数学大好きな生徒が同学年の生徒に呼びかけ、その学年の数学の教員に顧問になってもらい、設立した団体だ(その数学大好きな生徒は、年賀状に新年を盛り込んだ数学の問題を載せていた)。10名近い部員は、皆別の部活に所属しているので、全員兼部という状態である。その生徒たちは今年度で27歳になるだろうか。当時は桐朋祭(文化祭)でも発表し、とても楽しそうだった。その記録を左に示す。

    自称数学部の作成したプリントと測定器具

 

 その自称数学部が、ヒマラヤスギの高さを測ったことがあった。上の桐朋祭の記録ではそのことには触れられていないが、この桐朋祭後の授業で三角比(sin、cosである)を扱った際、これを使うと地上にいながらでもヒマラヤスギの高さも測ることができるんだと話したことをある生徒が覚えていた。それをメンバーで咀嚼し、検討を進め、実際に計測に臨んだのが、2013年の春だったと記憶している。そのときに自称数学部が作成したプリントや器具が右の写真である。原理的には正確に測定できるのだが、ちょっとした誤差が大きな差につながってしまう方法で、いかに誤差を小さくするかに腐心した。専門家が使うような機材がわるわけではなく、使う器具も手作りし、人を変え場所を変え、何度も計測した。その結果、ヒマラヤスギの高さは約22.8mと求められた。誤差を可能なかぎり小さくするように工夫した結果なので、この数値は真の値にかなり近いものと信じている。

    自称数学部の誇りであるパーカー

 ヒマラヤスギは1年で30㎝から60㎝も伸びる、成長が速い植物だそうだ。2013年春から既に10年以上経っているので、今は25mを超えているだろう。あの場に移植されて(おそらく)72年、学園の移り変わりを見ているヒマラヤスギ。自称数学部のメンバーが自分の高さを測ったとき、どのように感じただろう。その後自称数学部は、メンバーの卒業と共に消滅してしまった。私は今も当時の生徒が作ったパーカーを愛用している。やってみたいが、活動母体がない。そこで諦めることなく、母体から作ってみよう。そんな心意気を持つメンバーが現れることを期待し、こっそり宣伝活動を行っている次第である。

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