タイからの留学生 チャチャさん
昨年7月から高校2年に加わって一緒に学び、生活していたタイからの留学生のチャチャさんが、留学を終え、離日する日が近づきました。先日、お話しを聞いてみました。日本語でのやりとりがとてもスムーズでした。私は最初は気をつけてゆっくり話していましたが、そのうちいつものペースで話してしまいました。ですが、チャチャさんは全部聞き取っていました。
Q.日本に興味を持ったきっかけは何でしたか。
A.アニメの「ドラゴンボール」です。他にも「REBORN」も好きです。テレビで見ることができるので、よく見ていました(タイ語の吹き替え版です)。実は母も日本好きで、今までに10回くらい来日した経験があります。私もその影響を受けたのかもしれません。
Q.それがきっかけで興味を持ち、中学でJapanese Clubに入ったのですね。
A.そうですが、中学入学と同時に親に頼んで、日本語の塾に行かせてもらいました。この塾は中学生から入れる塾で、大人も対象です。そこに週2回通い、毎回2時間、日本人の先生とタイ人の先生から日本語を教えてもらいました。中学のJapanese Clubは上級生が挨拶を教えてくれる程度なので、私が既に知っていることがほとんどでした。
Q.そもそもタイの学校制度はどのようなものですか。
A.タイの学校も日本と同じで、小学校6年、中学校3年、高校3年です。ただ、新年度は5月に始まります。2月で一年が終わります。私が通っていた高校は50分授業が毎日8時間あって、土曜はお休みでした。
Q.一年がちょうど今頃終わるんですね。チャチャさんは日本では高2に入って勉強し生活してきましたが、タイでは高3でしたよね。
A.そうです。なので同級生はみな高校を卒業しました。私は帰国したらもう一度高校3年に戻ります。
Q.ということは一年遅れることになるんですね。
A.そうです。タイの大学入試は12月から3月にかけて行われるので、それを受けていない私は帰国して高校を卒業しても行先がないんです。なのでもう一度高校3年で勉強して、大学を目指します。
Q.大学で勉強したいことは何ですか。
A.今は経済に興味があります。でも外国で勉強するかもしれません。もしかしたら日本の大学で勉強するかも…。
Q.日本に来る前にチャチャさんが書いたものを見ると、タイと日本の架け橋になりたいと書いてあったので、日本の大学で勉強するのもいいですね。留学の話に戻りますが、7月に来日して8カ月くらい経ちました。その間、ホームシックにはならなかったですか?
A.全くなりませんでした(笑)。できるなら今も帰国したくないくらいです。
Q.クラブもいろいろ経験したとか。
A.最初は書道部と茶華道部に入りました。日本文化をいろいろ経験しようと思って。そのあと、バスケットボール部にも入りました。もともとバスケットボールにも興味があったので。
Q.アクティブですよね。バスケの顧問の先生に聞いたら、試合にも帯同しているとか。試合には出られないんだけれど、練習には参加し、うまくなってきたと聞きました。
A.楽しいです。
Q.この8カ月で日本語力は向上しましたか。
A.聞く方はあまり変わらないかもしれません(笑)。タイの塾で勉強していたので、結構聞けていました。話す力はかなりついたと思います。
Q.「頑張って」を漢字で書いているので驚きました。
A.それは調べながら(笑)。漢字はあまり得意ではないけれど、書いてみたいので、一つひとつ調べています。
Q.昨年12月には修学旅行にも参加しましたね。もし行けるならここに行きたいというところはありますか。
A.富士急に行きたい(笑)。
チャチャさんは8カ月間日本で勉強したので、留学の最後に校長と話す、緊張する場面を経験してもらおうと考え、話を持ち掛けたのは2月中旬でした。実際に会ったのは2月下旬でしたが、会う前日、担任の先生と一緒に校長室の場所の確認に来て、「この時計が目印だから」と話している声が廊下から聞こえてきました。用意周到さも持ち合わせているようです。当日、緊張しているかどうか尋ねたら、緊張していないと答えたので、私の目論見は外れてしまいました。一緒に来た先生によると、校長室に入る前は緊張していたらしいのですが、話し始めたらリラックスしたようです。留学前に提出された写真にはなかったメガネをかけているので聞いてみたら、タイでもメガネはかけているのですが、タイでは写真を撮る際メガネは外すのだそうです。日本との違いに驚きました。
留学初日、クラスの生徒の前で自己紹介したとき、チャチャさんの日本語力の高さに皆驚いたそうです。「私たち5年も英語を勉強しているのに、こんなに話せない…」と。それはそれで困りますのでしっかり勉強してもらうこととして、チャチャさんの日本語力に加え、その飾らない人柄で高2に加わり、共に過ごした8カ月でした。コロナの中、海外に留学するのは勇気が必要だったのではないかと思います。マスクは外せないし、楽しいお昼ご飯の時間も、長い間黙食が続きました。その中でも、ホームシックにはならなかったチャチャさん。いい思い出は私たちにもできました。再び来日することがあったら、お母さんと一緒に是非桐朋に来てと伝えたら、いいんですか?と言いながらも嬉しそうでした。桐朋も、チャチャさんの母校の一つです。いつでも顔を見せてください。チャチャさんが、桐朋とタイの架け橋にもなることを楽しみにしています。