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校長コラム

桐朋祭を前に

 9月28日(土)と29日(日)、桐朋祭が行われる。コロナ禍の際、2年間お客様をお迎えせずに実施したが、一昨年からコロナ前の状況に戻して行っている。今年もコロナの制約を特に設けず、実施する。とはいっても油断大敵。今年の7月下旬から8月上旬にかけて全国的に感染者が増加し、第11波と呼んでもおかしくない状況であった。幸い、感染者数は8月上旬をピークに減少傾向にあるが、前述のように油断はできない。

 桐朋祭と5月の体育祭は、桐朋女子を代表する学校行事である。生徒からの評価も高い。それは、生徒が主体的に取り組むからである。やらされるのではなく、自ら取り組む。桐朋女子の学校行事、特に体育祭、桐朋祭、そして12月に行われる中学だけの行事、ミュージックフェスティバルには、そのような、生徒が主体的に取り組む伝統がある。

 桐朋祭に関しては、中学生と高校生が合同で組織する生徒会の組織「文化祭委員会」が全体を統括する。文化祭委員のメンバーは、文化祭当日、オレンジ色のTシャツを着て運営にあたり、学校中を走り回る。文化祭委員会の中には更に6つの小委員会が設けられ、細分化された仕事を請け負っている。会場委員会、ポスタープログラム委員会、食堂委員会、展示委員会、催し物委員会、点数考慮・集録抄委員会の6つだ。桐朋女子は各学年5クラスで、文化祭委員は各クラスから2名ずつ選出される(高2は委員長1名と小委員長6名が別に定まり、各クラスからは1名ずつ選出されるので、総勢12名となる)。つまり文化祭委員会は、各学年10名~12名の委員で構成される。小委員会が5つならば各学年から2名ずつできれいに収まるが、6つなので、一部複数の小委員会に属する人がいる。委員は、いずれも意欲あって立候補した人ばかり。活き活きと動き回るその姿に、是非注目して欲しい。

 活躍する委員は、文化祭委員だけではない。高校執行部・中学執行部は、受付や文化祭発表の審査に深く係わる。皆さまをお迎えする正門のアーチも、執行部が発起人になり有志を集め作成するのが慣例だ。環境委員は、当日「ごみステーション」を設置し、ごみの回収にあたる。議会議員は、各発表の審査員(モニターと呼んでいる)になる。図書委員はしおりの作成や「BOOKチェンジ」などのイベントを実施する。皆、自分の持ち場で仕事をしている。これがすべて伝統として受け継がれているもの、というわけではない。どうしたらよいか、常に課題に向き合い、よりより方向を探っているので、伝統は少しずつ変化している。が、皆意欲的に主体的に取り組む点は、昔から変わらない。

 そして委員以外の生徒も、発表には全員参加している。所属している部活が運動部の場合、文化祭では発表しない場合が多いので、クラス発表だけという人も珍しくない。高校生になると有志でグループを構成し、グループ発表することが認められている。バンドやダンスパフォーマンスなどだ。高校生がいろいろな場面で運営をリードし、中学生は一緒に活動しながら、数年後私は…とイメージする。先輩が活躍する姿を見て、私もやってみたいとイメージする。実際に自分が高校生になると、企画運営がどれほど大変なのものなのかを目の当たりにするが、そこはチームワークで乗り切っていく。

 企業で仕事をする場合、プロジェクトに臨むことが多いだろう。生徒にとって、文化祭を運営する、文化祭で発表する、それぞれがプロジェクトだ。程度の差はあれ、大人が立ち向かうプロジェクトと同種のものに、生徒は向き合う。中には、達成の道筋がすぐには見えない、困難な道もある。それを如何にして達成するか。単年度では達成できずとも、数年かけて後輩に引継ぎながら取り組むこともある。生徒は「プロジェクトに臨む」と意識していないかもしれないが、取り組んでいることはまさにそのようなことだ。

 取り組んだ結果、道半ばというものもないわけではない。発表の中には、詰め切れなかった部分が残ったものもあるかもしれない。それはそれ、今後の課題として暖かく見守って欲しい。

 まもなく桐朋祭である。

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